「前歯が大きくて気になる」あなたに歯科医師が治療法を解説
【監修：歯科医師 長谷川雄士】
人より前歯が大きいと思われる方や、子どもの生え変わった前歯が大きい気がするなど、前歯の大きさを気にされている方は多くいらっしゃいます。
前歯というのは上の前歯中央の2本の歯(中切歯)のことを指すことが多く、前歯が大きいこと自体は問題ではありません。
ですが、前歯が大きいことで歯並びがガタついたりスペースが狭くなって出っ歯になるケースがあります。
ここでは大きい前歯となる原因や治療法、注意する点についてお話していきます。
【目次】
１、あなたの前歯は標準よりも大きい？一般的なサイズとは
２、前歯のサイズを小さくする方法とは？
・前歯自体を削って小さくする「セラミック治療」
・矯正治療で前歯を削らず、全体のバランスを整える
３、部分矯正は次のことに注意してください
あなたの前歯は標準よりも大きい？一般的なサイズとは
そもそも前歯が大きいとはどういうことでしょう。
歯の大きさが絶対的に大きい場合と、歯が相対的に大きく見える場合の2つに分けられます。
平均的な前歯の横幅は男性では8.6mm、女性では8.5mm前後とされています。
絶対的に大きいというのは、この横幅が9mmを超える場合に言えます。
歯の大きさは標準でも大きく見えるケースを挙げてみます。
①前歯2本だけが前に出ている(出っ歯)
上の前歯が下の歯より出ている、いわゆる出っ歯の状態だと前歯が目立つので大きく見えることがあります。
②前歯2本以外の隣にある歯が小さい場合
側切歯や犬歯が中央2本よりも小さく、奥に生えている場合では中央の2本が大きく強調されて見える場合があります。
③歯茎が下がって歯が見える部分が多い
強い力でブラッシングや歯周病の影響で歯茎が下がってしまうと歯の部分が露出して大きく見えることがあります。
これら以外にも、歯の生えかわりの時期は乳歯より永久歯の方が大きいので、乳歯と永久歯が混在する時期は先に生えかわっている前歯は大きく見えます。
絶対的に歯が大きいケースより、相対的に大きく見える出っ歯や隣の歯の位置関係などが原因となる事の方が実際には多いです。
前歯のサイズを小さくする方法とは？
大きく見える前歯の治療法はどのようなものがあるでしょう。
絶対的に大きい場合は歯を削る治療になります。削るといっても歯の表面のエナメル質は２～3ﾐﾘあり、そのうち0.5ﾐﾘ程度の歯が染みる心配のない範囲で削って形を整えます。削ることによって隙間ができた場合は矯正治療で埋めていきます。
しかし、歯を0.5ﾐﾘ程度削っても改善しない場合は歯を多く削って被せ物をするセラミック矯正があります。これは健康な歯を削る必要があるのであまりお勧めしません。矯正治療でかみ合わせや歯並びのバランスを整えることをお勧めします。
セラミック矯正のメリット・デメリットを次に挙げてみます。
前歯自体を削って小さくする「セラミック治療」
セラミック治療は矯正治療のような装置は付けずに、歯を削ってセラミックのかぶせ物をして歯並びや大きさを調整します。セラミックは天然歯に近い見た目といわれていて、短い治療期間できれいな歯並びになります。
しかし自分の健康な歯を多く削る必要があります。ほとんどの場合神経を抜き歯根を残して歯の向きや歯の形を作るため、歯根にも多くの負担がかかります。出っ歯の具合によっては形を整えるにも限界があり、無理に歯の向きを変えることで土台となる歯根にかむ力が集中します。歯根に強い力がかかり続けると歯根の方向に割れた場合、抜歯に至ることもあります。長い目で見ると歯の寿命を減らすことになるのです。
また、顎全体のかみ合わせが合わなくなるケースも多く、噛むバランスが悪くなると顎関節症や体の不調の原因につながる事があります。
一度削った歯は元に戻すことはできません。健康な歯を削るとこのようなリスクや不安を抱えることになるのです。
矯正治療で前歯を削らず、全体のバランスを整える
矯正治療は健康な歯を削ったり神経を抜いたりする不安やリスクはなく、自分の歯を動かすだけです。しかしお口に長い期間矯正装置を付けなければならないとイメージされる方もいらっしゃると思います。
ワイヤー矯正以外にも透明なマウスピースを使用したインビザライン矯正という矯正治療があります。
患者さんのお口に合わせてオーダーメイドで作成されたマウスピースを装着して、少しずつ歯を動かして歯並びを矯正していく治療方法です。
透明なマウスピースなので装着していても目立ちにくく、装着したまま会話もできます。
装置の取り外しができるので、歯磨きや装置のお手入れが簡単でお口の中を清潔に保てます。ワイヤーなどの金属を使用しないので金属アレルギーの方でも安心して治療できます。
気になる前歯だけを部分的にインビザライン矯正で治療することもできます。その場合、治療期間や治療費用などを抑えられるメリットはありますが、全ての方があてはまるとは限りません。
部分的な矯正治療ができる条件や注意点を次に挙げてみます。
部分矯正は次のことに注意してください
インビザライン矯正で前歯だけを動かして見た目をきれいにすることはできます。先述の通り部分矯正は通常の矯正に比べて治療期間や治療費用、通院の負担や手間が抑えられます。
部分矯正を行う場合、マウスピースの枚数が決まっているため、専門医による正確な診断と最終までの精密な治療計画が必要です。そして治療を無駄のないように進めていくためには患者さまの協力が不可欠です。装着時間や装着時の注意点を守って頂くと計画通りに治療が進み、満足のいく治療完了となるでしょう。
しかし、前歯の部分矯正を行う場合はかみ合わせに影響がない場合に限ります。つまり奥歯のかみ合わせにも影響がある以下のような場合は全体の矯正が必要になる事が考えられます。
- 元々かみ合わせが合っていない
- 重度の叢生(前歯のガタツキ)、重度の出っ歯
- 受け口
- 上の歯が下の歯を大きく噛みこんでいる
- かみ合わせが悪いために顎関節症になっている
- 顎が小さくスペースが足りないため抜歯が必要な場合
これ以外にも骨格の問題や習癖など、患者さま一人ひとりお口の状況は違います。
当院では矯正無料カウンセリングを行っており、気になる前歯や歯並びについて専門知識を持ったスタッフへご相談いただけます。
また当院には骨格を診断するためのCT・レントゲン設備が整っております。当院なら、あなたの歯の大きさやお顔のバランスを見た上で、美しい口元を目指していくことができます。
大きい前歯が気になる方、部分矯正で治療ができるかなど、お気軽にひかり歯科医院へご相談ください。