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乳歯があるのに永久歯が内側から生えた場合の対処法

【監修:歯科医師 長谷川雄士】


二重歯列の子供の口

まだ乳歯が抜けてないのにその内側から永久歯が生えてくることはよくあります。様子をみても良い場合もありますが、抜歯が必要になる場合もあります。

今回のコラムでは「治療が必要な場合の判断基準」や、「様子をみてもよい期間」、「永久歯が内側に生えたままになった場合の治療法」などについてお伝えします。

 【目次】
1、抜歯が必要かどうかは乳歯の状態を確認しましょう
2、乳歯があるのに永久歯が内側から生える理由
3、気をつけて観察していただきたいこと
  ①2週間以上たっても乳歯が抜けない
  ➁乳歯が抜けた後も永久歯の位置が改善しない
4、矯正治療の方法について
5、小児専用のマウスピース矯正装置もあります!
  ・マウスピース矯正「インビザライン」とは?
  ・子供も使える「インビザラインファースト」について
  ・「インビザラインファースト」をおすすめする理由
6、負担が少なく、小さい頃から行える「予防矯正」
  ・「予防矯正」について
  ・「予防矯正」で行うこと
7、永久歯を内側に生えたままにしておくと。。。
8、気になる歯並びがあれば、ぜひ当院の無料相談をご活用ください!

抜歯が必要かどうかは乳歯の状態を確認しましょう

乳歯から永久歯への生え換わりは、下の歯の1番前の歯からスタートすることが多いです。この時期によく起こるのは、乳歯が抜ける前に永久歯が内側から生える事例です。歯並びに影響しないか心配になる親御さんもいらっしゃるかもしれません。

注目していただきたいポイントは乳歯がグラグラしているかどうかです。乳歯がグラグラの状態であれば乳歯の根っこが吸収されている段階にあり、時間の経過とともに自然に抜けるので様子を見ていただければ良いです。

乳歯があまりグラグラしていない場合は、一度、歯科医院で診てもらいましょう。レントゲン撮影で乳歯の根っこの確認を行い、吸収が進んでない場合は抜けるまでに時間がかかる可能性があります。そうすると、永久歯が正常な位置に生える妨げになりやすいため治療による抜歯が必要になることもあります。

永久歯の位置がずれて生えたとしても舌の力で永久歯が外側に移動することもあります。歯科医院の定期健診で経過観察してもらうと、もし治療が必要になっても治療が必要なタイミングを教えてもらえるのでおすすめです。

乳歯があるのに永久歯が内側から生える理由

永久歯への生え換わりは個人差はありますが6歳頃に始まります。

最初に生えるのが6歳臼歯(第一大臼歯)で、同じ頃に下の前歯が生え換わります。6歳臼歯は乳歯がないところに生えてくるので、正常に生えてきやすいです。

下の前歯については、「乳歯の下から生えてくる」のと「生え換わりの時期が早い」ために、まだ顎の成長が不十分な状態で永久歯が生えてくることがあります。そうすると、永久歯が生えるスペースが足りずに内側に生えてくることはよくあります。

乳歯が抜け少しずつ顎の成長が進み舌の力で前歯が押されてくると、永久歯が正常な位置に移動することもあります。

気をつけて観察していただきたいこと

①2週間以上たっても乳歯が抜けない

永久歯の位置が乳歯の真下からずれて生えてきた場合は、乳歯の根っこの吸収が進まず数ヶ月たっても抜けないことがあります。この場合、永久歯が正常な位置に生える妨げになる可能性を考えて抜歯を行うこともあります。乳歯がほとんどグラグラしておらず2週間以上抜けない場合は、一度、歯科医院で診てもらうことをおすすめします。

※乳歯がグラグラしている場合でも、噛んだ時や歯磨きの時に痛みを感じたり、お子さんが不快に感じることがある時は抜歯を行うこともあります。

➁乳歯が抜けた後も永久歯の位置が改善しない

乳歯が抜けた後も永久歯の生える位置が改善しないまま隣の歯の永久歯が重なるように生えてきた場合は、矯正治療の必要があるかもしれません。

重なりが小さい場合は今後の顎の成長により改善する場合もあるかもしれません。しかし、重なりが大きい場合は永久歯が正常な位置に移動するスペースが確保されにくくなるため改善する可能性が低いです。

一度、歯科医院でご相談されることをおすすめします。

矯正治療の方法について

主な矯正方法に、ワイヤー矯正(表側矯正・裏側矯正)とマウスピース矯正があります。それぞれの特徴をご説明します。

●ワイヤー矯正(表側矯正)
歯の表側にブラケットと呼ばれる装置を接着し、ワイヤーを通して歯を3次元的に移動させる仕組みです。歯を動かす力が大きいため、適応範囲が広いのが特徴です。デメリットとしては、装置が歯の表面に接着されているために口の中の粘膜が傷つくことがあったり、歯磨きもしづらくなるため虫歯のリスクが高まることがあります。

治療期間
治療期間の目安は1~2年くらいです。矯正装置の調整を行うため、だいたい1ヶ月に1回くらいの通院が必要です。装置が外れた後も、整った歯並びが元に戻らないようにするために保定期間が必要になります。保定期間は、取り外しできる装置や歯に接着するタイプの簡易的な装置を使用し、3ヶ月に1回くらいの通院で経過観察を行います。

費用
子供の矯正治療には第1期治療と第2期治療があります。第1期治療は3~12歳頃が対象で、「歯列や顎骨の正常な発育促進を行い、永久歯が正しく生えるための土台作り」を目的に行います。第2期治療は12歳以降が対象で「歯並びを良くする」目的で行います。第1期治療完了後、歯並びに気になる部分がある場合、再度第二期治療で気になる箇所を治す方もいらっしゃいます。費用の目安は、保険外診療で第1期治療のみであれば30~60万円くらいです。第二期治療を希望される方は25~60万円ほど追加でかかります。

●ワイヤー矯正(裏側矯正)
歯の裏側にブラケットと呼ばれる装置を接着し、ワイヤーを通して歯を3次元的に移動させる仕組みです。表側矯正より歯を移動させる力が弱いため適応範囲が狭いです。歯の裏側は、唾液の循環が良いため表側矯正よりは虫歯のリスクは低めですが、装置に食片がつきやすいので丁寧な歯磨きを心がけましょう。舌が装置にあたって傷ができることもあります。歯科医師の高い技術が必要なため費用が高めです。

治療期間
治療期間の目安は1~3年くらいです。矯正装置の調整を行うため、だいたい3週間に1回くらいの通院が必要です。装置が外れた後も、整った歯並びが元に戻らないようにするために保定期間が必要になります。保定期間は、取り外しできる装置や、歯に接着するタイプの簡易的な装置を使用し、3ヶ月に1回くらいの通院で経過観察を行います。

費用
費用の目安は、保険外診療で80~100万円くらいです。

●マウスピース矯正
透明なプラスチック素材で作成されたマウスピース型矯正装置により矯正治療を行います。口を開けても目立ちにくく、取り外すこともできるため、矯正治療中でも通常の生活と同じように歯磨きや食事を行えます。マウスピースは新しい物に交換しながら徐々に歯を移動させますが、1枚あたりの歯の移動量は0.25mmと小さく、痛みも出にくいです。移動量が小さいと治療期間が長くならないか心配になるかもしれませんが、交換時期を守りながら自宅でマウスピースを交換し、治療を進めることができるので、治療期間はワイヤー矯正とほとんど変わりません。その分、自己管理が必要になりますが、スマホのアラームやスケジュール機能などをうまく活用されている患者さんもいらっしゃいます。

治療期間
治療期間の目安は2年くらいです。自宅でマウスピースを交換しながら、1~2ヶ月毎に通院して歯の動きを確認します。ワイヤー矯正よりも通院頻度が少なめなので、親御さんのお仕事やお子さんの習い事で通院が難しい方にもおすすめです。1日の装着時間は20時間~22時間になりますが、楽器を吹いたり、スポーツをしている間も装着したままで良いです。

費用
費用の目安は保険診療外で、30~70万円くらいです。(歯の生え換わりの時期である6~11歳頃に行う場合。)

※上記記載の治療回数・期間の目安は全体矯正の場合です。あくまで参考までにしていただければと思います。歯並びの状態、治療の進行状況などで変わることがあります。

小児専用のマウスピース矯正装置もあります!

マウスピース矯正「インビザライン」とは?

マウスピース型矯正装置はいくつか種類があります。「インビザライン」もその1つですが、世界で最も主流で1400万人以上が利用している実績のある矯正装置です。

インビザラインは、成人専用、若年層専用(中学~高校生)、小児専用(幼児~小学生)が開発されており、早ければ幼児期からの矯正治療が可能です。

子供も使える「インビザラインファースト」について

小児専用のマウスピース型矯正装置は「インビザラインファースト」と呼ばれ、乳歯と永久歯が混在する時期に適した仕様になっています。小さな乳歯でも装着可能で、後に生えてくる永久歯の位置を見据えて、オーダーメイドのマウスピース型矯正装置が作成されます。

治療期間は最大で18ヶ月です。適応年齢は、6~10歳頃(乳歯と永久歯が混在する時期)です。歯の生え換わりは個々で大きな違いがあるので、適応年齢に当てはまらなくても使用できる場合もあります。

「インビザラインファースト」をおすすめする理由

小児専用のマウスピース型矯正装置を使用するメリットは、「目立ちにくい」、「取り外しできる」以外にも、「1期治療と2期治療が一緒に行える」ことが最大のメリットです。

子供の矯正治療には第1期治療と第2期治療があります。第1期治療は3~12歳頃が対象で「歯列や顎骨の正常な発育促進を行い、永久歯が正しく生えるための土台作り」を目的に行います。第2期治療は12歳以降が対象で、「歯並びを整えて綺麗にする」目的で行います。

一般的な矯正治療は1期と2期を分けて行いますが、インビザラインファーストは1期治療を行いながら2期治療も同時に行うことができます。その分、費用や治療期間も抑えられ、親御さんやお子さんの負担も少なくなります。

負担が少なく、小さい頃から行える「予防矯正」

「予防矯正」について

歯並びの良し悪しは遺伝も1つの原因ですが、口周りの癖や習慣といった後天的な要因も大きく影響します。口周りの癖や習慣により顎骨や口周りの筋肉が正常に発達しないと、歯が生えるスペ-スが狭くなり歯並びが悪くなることがあります。

例えば、口呼吸の癖のある方だと基本的に口が開いた状態になります。そうすると、口周りの筋肉が鍛えられず、唇の力が歯にかかりにくいことや、舌の筋肉が弱まりやすいことで、出っ歯や受け口、開口になることもあります。唇や舌などの力は小さな力なのですが、毎日継続して力がかかると歯を動かす程の影響力になります。

「予防矯正」ではマウスピースを使ったトレーニングを行い、口周りの筋肉や顎骨の正しい発育を促します。悪い癖の改善や舌の使い方、呼吸の仕方などを改善しながら、お子さんの成長をうまく利用して根本から歯並びを整えます。そのため、抜歯を必要とせず整った歯並びを手に入れることが可能です。適応年齢は5~10歳で、中でも5~8歳は顎の発達が著しい時期であるため治療の効果が出やすいです。治療期間の目安は2年くらいです。

「予防矯正」で行うこと

  1. 毎日マウスピースを装着します(就寝時+日中1時間)
  2. 大人の方と自宅で1日2~3回トレーニングを行います
  3. 治療始めの2ヶ月は週1回の通院、それが終わったら月に1回通院してトレーニングを受けます
  4. 難易度の高い歯並びや10歳前後の子は、舌を正しい位置におくスペースを作るため、別の装置を数ヶ月使用します。

痛みはほとんど無いですが、マウスピースに違和感を感じる子もいらっしゃいます。多くの子は1週間くらいで慣れてきます。自宅で毎日のトレーニングが必要になるため、親御さんのサポートがとても重要になります。

永久歯を内側に生えたままにしておくと。。。

虫歯や歯肉炎のリスクを高める
歯と歯が重なるため歯ブラシで磨きにくくなるので、プラーク(歯垢)が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病リスクを高める原因になります。

不正咬合を引き起こす原因になる
永久歯を内側に生えたまま放置すると、噛み合う歯も、その歯に合わせてズレて生えてくることがあります。そうすると噛み合せのバランスも悪くなり、不正咬合を引き起こす原因になります。

咀嚼効率が低下する
本来、しっかり噛み合うはずの歯が内側にズレていることで、正しく噛み合わなくなり、咀嚼効率が悪くなります。そうすると、栄養の吸収も悪くなったり、消化不良により便秘を引き起こす可能性もあります。

全身にも影響する
噛み合わせのズレは、顎骨の関節や姿勢、運動機能にも影響します。顎関節症の原因や、姿勢の悪さによる肩こりや頭痛を引き起こす原因になることもあります。他にも運動面で、しっかり歯を食いしばれないと十分な力を出せないこともあります。

コンプレックスになる
歯がズレて生えていることで、凸凹した歯並びになりやすいです。そうすると、それがコンプレックスになり、口元を隠してしまいがちになります。

歯並びは噛み合わせと密接に関係しているため、見た目以外にも全身に影響することもあります。内側に生えたままの永久歯は放置せず、早めに歯科医院で診てもらうことをおすすめします。

気になる歯並びがあれば、ぜひ当院の無料相談をご活用ください!

お子さんの歯並びで気になることはありませんか?当院は「予防矯正」にも力を入れており、治療が必要なお子さんであれば、早いうちから矯正治療をスタートすることができます。

予防矯正では、ただ歯並びを治すだけではなく、呼吸法(鼻呼吸)や姿勢、舌の位置に至るまで、改善するためのトレーニングが組み込まれています。そのため、歯並びの問題を根本から解決できるので後戻りのリスクが少ないのも大きな特徴です。

お子さんの歯並びに気になることがあればお気軽にご相談ください。当院では無料カウンセリングも受付けております。

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