大きい前歯どうしたら治せる?治療法について
【監修:歯科医師 長谷川雄士】
前歯の大きさや傾き、一度気になり始めると自分の歯を見るたびに気になってしまうことありますよね。
前歯の見た目を治す治療方法には歯列矯正やセラミック治療などがあります。歯列矯正には歯並び全てを治す全体矯正の他に部分的に治す部分矯正もあります。
ここではそれぞれの治療法の特徴や注意点などについてお伝えします。
【目次】
1、標準的な歯の大きさはどのくらい?
2、大きい前歯から理想の前歯にする治療方法
・セラミック治療で大きい前歯を改善する
・インビザライン矯正で大きい前歯を改善
3、部分矯正について知っていただきたいこと
標準的な歯の大きさはどのくらい?
前歯が大きいという悩みを持つ方の多くは上の歯の中心に並ぶ2本の前歯を気にされています。この歯を中切歯と呼びます。中切歯が大きく見える理由は5つ考えられます。
歯のサイズ
歯の構造は、目で見える頭の部分(歯冠:しかん)と歯茎に埋まっている根っこの部分(歯根:しこん)から成ります。中切歯の平均的な歯冠サイズは長さ10〜11mm幅9.0mmです。このサイズを大きく超える場合は歯のサイズが大きいと考えられます。
他の歯とのバランス
中切歯の隣に生えているのが側切歯です。側切歯が中切歯より内側に生えている場合、側切歯は小さく見えるため中切歯は大きく見えやすいです。また、側切歯のサイズが小さかったり少し丸まった形をした矮小歯(わいしょうし)の状態で生えていると中切歯は大きく見えやすいです。このように、隣の歯の大きさによっては中切歯が強調され大きく見えることがあります。
出っ歯
出っ歯(上顎前突)は前歯が前方に傾いてる状態を言います。歯並びが出っ歯の状態だと前歯が強調されて大きく見えます。
生え換わり時期
永久歯の生える順番は、6歳臼歯(第一大臼歯)→下の前歯→上の前歯→その他の歯の順で生えてくることが多いです。この順番を考えると、上の前歯の永久歯は生え換わり初期の段階で生えることがわかります。歯の大きさは乳歯よりも永久歯の方が大きいです。そのため、上の前歯が生える頃にはまだ乳歯が多く残っているので上の前歯が強調されて大きく見えることがあります。
歯茎が下がる
歯磨きの力が強すぎて歯茎を傷つけてしまったり歯周病などにより歯茎の炎症が繰り返されると歯茎が下がることがあります。歯茎が下がると歯の根っこ(歯根:しこん)部分まで見えて歯が大きく見えることがあります。
大きい前歯から理想の前歯にする治療方法
前歯の大きさを改善する治療方法は大きく2つあります。
1つは歯の形を整えてセラミックの被せ物を装着する治療、2つ目は矯正治療です。
矯正治療については、歯並び全体を改善する全体矯正治療と歯並びの気になる部分だけ治す部分矯正があります。それぞれの特徴をご説明します。
セラミック治療で大きい前歯を改善する
セラミック治療はセラミック矯正とも呼ばれることがあります。短期間で前歯を改善することが可能で、前歯1本はもちろん複数の前歯を同時に治療することもできます。
治療の内容は、歯を削って小さくしたあとで歯の型を取り見た目を改善できるように作成されたセラミックの被せ物を歯に装着します。被せ物はいくつか種類があり選んでいただけますが、中でもセラミックは天然歯と同じような色みや質感を再現でき見た目もキレイになります。
ただし、歯の内部には神経があるため歯を削ることのできる量は限られています。そのため、見た目は改善できますが歯の大きさと一緒に歯の傾きなどを改善するなど理想の前歯を完璧に求めようとする場合には限界があります。
もう1つ注意点があります。それは健康な歯を削ることは非常にもったいないということです。セラミックは見た目・強度に関して非常に優れた素材ですが、現時点で天然歯以上に優れた素材がないのが現状です。そのため、虫歯治療における詰め物や被せ物には適していますが健康な歯を削ってまでセラミック治療を行うのはもったいないことなのです。
歯の大きさは歯並びのバランスも大きく関わることもあるので、まずは矯正治療で歯並びや噛み合わせを改善することがおすすめです。
インビザライン矯正で大きい前歯を改善
矯正治療では歯の並びを整えて大きく強調して見える前歯を目立ちにくくします。矯正治療というと金属の装置を使用して行う矯正のイメージがあるかもしれません。しかし、ワイヤー矯正以外にもマウスピース矯正という方法もあり、その1つにインビザラインがあります。
インビザラインは樹脂素材の透明なマウスピースを使用して歯を徐々に移動させます。矯正治療中でも目立ちにくいのが大きな特徴で、取り外しもでき、食事や歯磨きも通常通り行えます。矯正治療を行うことで、歯の見た目や他の歯とのバランスはもちろん、噛み合せも改善することができます。ただし、外している時間が長くなると計画通りに治療が進まないこともあるのでマウスピースの装着時間を守ることが非常に大切になります。
他にもインビザラインでは、矯正治療完了時はもちろん、治療中のシミュレーションについても動画や画像を見ていただくことができるため事前に治療内容を理解していただきやすいです。
セラミック治療と大きく異なる点はご自身の健康な歯をそのまま残せるということです。健康な歯の表面にあるエナメル質以上に優れた素材は現時点では存在しません。できるだけ健康な歯をそのままの状態で残すことが歯の寿命を長くすることにも繋がります。
部分矯正について知っていただきたいこと
矯正治療では、前歯の気になる部分を治す方法として部分矯正という方法もあります。部分矯正はインビザラインでも行えます。歯並びを部分的に治すため全体矯正よりも費用が安価で治療期間も短いのがメリットです。
しかし、移動できる歯の本数が限られるので症例も限られます。前歯の歯並びだけ治したいと思っても、出っ歯や歯と歯の重なり、すきっ歯などが重度である場合は部分矯正治療の適応外となってしまうことがあります。また、歯を部分的に動かす部分矯正では見た目を改善することはできますが噛み合せを改善することは難しいです。そのため、重度の歯並びや噛み合せの改善を行うには全体矯正による治療が必要になります。
気にされている歯並びはどういった状態でしょうか?少し気になる程度だから、部分矯正で治療できるかな。。。と悩まれている方もいらっしゃるかもしれません。
部分矯正と全体矯正の基準は、歯の重なり具合や隙間の大きさなどに関して数mm単位の違いで判断します。ご自身の歯並びに合った治療方法は、歯科医師が実際にお口の状態を診ることで判断することが可能です。
当院では随時、カウンセリング・ご相談を受け付けております。お気軽に足を運んでいただき、まずはカウンセリングでご希望をお聞かせ下さい。
それではあなたからのご相談をお待ちしております。