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過蓋咬合の治療法とは。マウスピース矯正でも治せるの?

【監修:歯科医師 長谷川雄士


口角に指先を添えている女性の口元

笑った時に歯茎が大きく見えるのが気になることはありませんか?その原因は歯並びや咬み合わせが関係しているかもしれません。悪い歯並びが原因で正しく咬み合っていない状態を「不正咬合」といい、「不正咬合」の1つに「過蓋咬合(かがいこうごう)」があります。「過蓋咬合」だと、笑った時に歯茎が大きく見えることがあります。それをコンプレックスに感じたり、機能面に影響が出たりすることもあります。今回は、「過蓋咬合」の「原因」や「治療方法」などについて詳しくご説明します。

【目次】
1.「過蓋咬合(かがいこうごう)」ってどんな咬み合わせ?
 1-1過蓋咬合の原因について
2.過蓋咬合は自力で治せる?
 2-1過蓋咬合をそのままにしておくリスクとは?
3.過蓋咬合の改善には「矯正治療」が最適!
 3-1過蓋咬合治療で重要となる3つの歯の動かし方
 3-2補助器具の使用でより理想的な歯並びに!
 3-3矯正治療の方法について。治療法別に特徴をご紹介!
4.過蓋咬合の矯正治療後にしゃくれることはある?
 4-1過蓋咬合治療にもインビザラインは対応可能です!

「過蓋咬合(かがいこうごう)」ってどんな咬み合わせ?

正常な噛み合わせなら、奥歯を噛んだ時に上の前歯は下の前歯を2~3mm覆った状態で重なります。しかし、過蓋咬合だと、上の前歯と下の前歯の重なりが大きくなり、咬み合わせが深くなります。下の前歯が上の前歯裏側の歯茎に接触する場合も過蓋咬合に分類されます。別名ディープバイトとも呼ばれます。

過蓋咬合であっても歯並び自体は悪くないこともあるため、気にされない方もいらっしゃいます。ただし、過蓋咬合は不正咬合の1つでもあり、咬み合わせが深いことで歯の接触が強くなり、将来的に歯のすり減り(咬耗)や顎関節症、歯が欠けるなどといったリスクも考えられます。

過蓋咬合の原因について

過蓋咬合の原因として、主に「骨格のバランス」や「歯の高さ」が挙げられます。他にも遺伝や生活習慣、お口周りの癖なども関係することがあります。

○骨格のバランス
上の顎が下の顎より成長しすぎて大きくなっていたり、逆に下顎の成長が遅く小さいままだったり、上下の顎の位置関係がずれているなど、骨格のバランスが影響することがあります。
上下の顎の発達の仕方や大きさは、生活習慣やお口周りの癖、遺伝などが原因として考えられます。両親(あるいは一方の親)が過蓋咬合だと、骨格の状態が遺伝的に似る場合が多いため、その子供も過蓋咬合になることがあります。

○歯の高さ
前歯の高さと奥歯の高さが合っていない状態が続くと、咬み合わせが深くなりやすく、過蓋咬合の原因となることがあります。
歯の高さが合わなくなる原因としては、

  • 子供の時期の生え換わりがスムーズに進まなかったこと
  • 虫歯ができて早期に奥歯を喪失してまったこと
  • 奥歯の治療が必要だったにもかかわらず治療せず放置してしまったこと
  • 歯のくいしばりや歯ぎしりなどで歯がすり減ること

などが考えられます。

遺伝による過蓋咬合を改善するには治療が必要です。しかし、口周りの癖(指しゃぶり、口呼吸、舌の癖)が原因になっている場合は、子供の時期であればお口のトレーニングにより改善できる可能性があります。

過蓋咬合は自力で治せる?

ご自身で過蓋咬合を治すことはリスクを伴うため不可能と言えます。計画もなく、意識的に歯に力を加えたり、指で圧をかけたりして歯を動かそうとすると、咬み合わせのバランスを崩してしまったり、歯並びが悪くなることにも繋がりかねません。過蓋咬合の改善を考えるなら、まずはレントゲン写真撮影や咬み合わせ、歯の生えている向きや、骨格の状態を知り計画的に治療を行うことが必要であるため、一度歯科医院で診てもらうことをおすすめします。

しかし、ご自身で過蓋咬合を予防することはできます。ポイントは、日常的に行っている口周りの癖や習慣を改善できるように心がけることです。
具体的には、

  • 歯ぎしり・食いしばりを意識してしないようにする
  • 頬杖をつかないようにする
  • 前歯で唇を噛む癖をやめる
  • 口呼吸ではなく鼻呼吸を心がける

などです。習慣や癖を改善することで、歯はもちろん、口周りの筋肉や顎骨にかかる負担を減らせるので、過蓋咬合の予防に繋げることができます。

過蓋咬合をそのままにしておくリスクとは?

咬み合わせが深い「過蓋咬合」の状態であっても、歯並び自体は綺麗な方もいらっしゃいます。そのため、あまり気にならず積極的な治療を希望されない方が多いのが現状です。しかし、過蓋咬合は咬み合わせに問題があるため、将来的なリスクに繋がることがあります。以下に、そのリスクについて具体的にご説明します。

○笑うと歯茎が目立つ
笑った時に上の前歯の歯茎が大きく見えて目立つ「ガミースマイル」になりやすいです。過蓋咬合の場合、上の前歯が下の前歯に通常よりも覆い被さっている状態になるので、その分歯茎が見える面積も大きくなりやすいためです。
ガミースマイルは、笑顔に自信が持てないなどのコンプレックスとなったり、口の中が乾燥しやすくなることで虫歯や歯周病などのリスクが高まる原因になったりすることもあります。

○顔立ちへの影響
咬み合わせが深いと、顎骨や口周りの筋肉に大きな力がかかりやすく、骨や筋肉が発達することでエラが張る原因にもなります。その理由は、食いしばりが癖になっていたり、日常生活で行う食事などで、口周りの筋肉や顎骨が無意識に鍛えられるからです。一度、発達した筋肉や骨は、元の状態に戻すことが難しく、治すためには専門的な治療が必要になります。

○顎関節に負担がかかる
顎関節は、頭部側面の骨(側頭骨)と下顎骨(かがくこつ)の間に、クッションの役割となる「関節円板」が存在します。この構造により、下顎骨を前後左右に動かすことができます。食事などで咀嚼する時は、一定のリズムで下顎が動きます。しかし、咬み合わせや姿勢が悪いと動きにズレが生じやすく、そのズレが顎関節への負担となり、顎関節症を引き起こす原因となるのです。顎関節症を引き起こすと、口の開けにくさ、口を開け閉めする際の雑音、関節痛などの症状を伴うことがあります。

○歯茎に傷がつく
下の前歯が見えないくらい上の前歯が被さっている状態の過蓋咬合では、下の前歯が上の前歯裏側の歯茎に接触している場合があります。また、上の前歯が下の前歯の歯茎に接触することもあります。そうすると、歯茎に傷がついて口内炎ができやすくなります。このように、口内炎が頻繁にできる方は、咬み合わせが原因となっている可能性も考えられます。

○歯のトラブル
咬み合わせが深いと、上下の歯の接触が強くなり、歯にかかる負担が大きくなります。そのため、「歯の詰め物や被せ物がとれる」、「歯の欠けやヒビが生じる」、「歯の咬耗が生じやすい」などのトラブルが起こる確率が高いです。

○出っ歯を誘発する可能性
咬み合わせが深く、上の前歯が下の前歯を覆っている状態だと、上下の前歯の重なりが大きくなります。そうすると、下の前歯が上の前歯を押す力が少しずつかかるため、上の前歯が持ち上がって前方に突出したようになることがあります。つまり、過蓋咬合は出っ歯を誘発する原因にもなるのです。出っ歯になると口呼吸になりやすかったり、発音に問題が発生したりすることがあります。

過蓋咬合の改善には「矯正治療」が最適!

矯正治療では、うまく咬み合ってない状態から歯の位置や骨格の位置を調整し正常な位置で咬める状態にすることをゴールとして掲げます。
過蓋咬合を改善するには、下の前歯に被さっている上の前歯を持ち上げて、下の前歯が見えるようにします。それに加えて、咬み込みが強くなっている奥歯は低い位置で咬んでいるため、高い位置で咬めるように歯を動かして調整します。このようにして、矯正治療では、歯並びだけではなく咬み合わせも考慮しながら歯を動かすことができるため、バランス良く噛むことが可能になります。一部の歯に大きな負荷がかかることを防ぐこともできるため、将来的に歯の寿命を長くすることにも繋がります。

矯正治療には、「ワイヤー矯正」や「マウスピース矯正」があり、装置の色や素材の違いなど、ご自身のライフスタイルに合わせながら治療方法を選んでいただくこともできます。歯科医師に相談の上で、ご自身に最適な方法を選択しましょう。

過蓋咬合治療で重要となる3つの歯の動かし方

過蓋咬合を改善するためには、主に3つの方法で歯を動かします。それらの方法についてご説明します。

◇『挺出(ていしゅつ)』
奥歯は、咬み込みが強くて咬み合う位置が低くなっていることがあります。そのため、奥歯の咬み合う位置を高くするために「廷出」を行います。前から4番目と5番目に位置する小臼歯を中心にして、奥歯を歯茎から引っ張り歯の位置を高くすることで、咬み合わせを高くします。奥歯の咬み合わせを高くすることで、上下の前歯の間にわずかな隙間を作り、前歯の位置を調整し、正常な咬み合わせを作っていきます。

◇『圧下(あっか)』
上の前歯が下の前歯に被さり、咬み合わせが深くなっている状態であるため、上の前歯を歯茎方向に押し込むようにして歯を移動させます。この方法を「圧下」といいます。圧下は、矯正治療の中でも難易度の高い歯の移動方法で、アンカースクリュー(矯正用インプラント)を固定源として、歯を動かすケースが多いです。

◇『傾斜移動(けいしゃいどう)』
振り子の動きのように、前歯の根っこの先端部分は動かさず、頭の部分を前方に倒すことで、上下前歯のかみ合わせを改善する方法です。前方への移動量を大きくしてしまうと出っ歯になる可能性があるので、比較的歯の移動量は少ないです。そのため、歯を移動させやすいです。

補助器具の使用でより理想的な歯並びに!

矯正治療中は、必要に応じて補助的な器具を使用することがあります。適切なタイミングで補助器具を導入することで、咬み合わせを整えやすくなり、より理想的な歯並びを目指すことが可能になります。矯正治療において、補助器具は多くの症例で使用されています。

◆『アタッチメント』
インビザライン(マウスピース矯正)で使用します。歯の表面に白い樹脂で突起を接着します。歯と同じような色味なので、目立ちにくいです。歯のねじれ、傾き、圧下や挺出など歯の移動方向に合わせて、それぞれアタッチメントの位置、形、大きさが決められています。適切なタイミングで、補助的にアタッチメントを使用することで、特定の歯に必要な力をかけられるので、歯の微調整を行うことができます。治療完了後は取り外し、元の歯の状態に戻します。

◆『顎間ゴム(エラスティックゴム)』
上の歯と下の歯に装着している装置にゴムをかけ、ゴムの弾力によって歯を動かします。歯の位置や顎骨の小さなズレを調整することが可能で、正常な咬み合わせへ導くことができます。顎間ゴムのことを「エラスティックゴム」とも呼び、様々なサイズや強度があるので、担当歯科医師に指定されたものを使用します。

矯正治療の方法について。治療法別に特徴をご紹介!

過蓋咬合の主な矯正治療方法として「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正(インビザライン)」があります。治療方法別に、それぞれの特徴について以下の表に沿ってご説明します。


ワイヤー矯正 マウスピース矯正
(インビザライン)
歯の移動方法 ▶歯に直接装置(ブラケット)を接着し、ワイヤーを通して力をかけて、徐々に歯を移動する方法です。装置を表面に接着する「表側矯正」と裏面に接着する「裏側矯正」があります。
▶大きな動きにも細かい動きにも適応できるため適応症例範囲が広いです。
▶樹脂素材の透明なマウスピース型装置を使用します。数週間毎にマウスピースを交換しながら歯を徐々に移動させます。
▶マウスピースの交換は、自宅でも行えます。
特徴 ▶比較的強い力での歯の移動が可能なため、難易度の高い過蓋咬合にも適応できます。
▶装置はつけっぱなしなので、装置の交換や装着時間を気にしなくてもいいです。
▶比較的、通院間隔が短いが、その都度歯の動きに合わせて必要な処置を行いやすいです。
▶見た目が気になる場合は、白い装置を使用することも可能な場合があります。
▶装置が目立ちにくいです。
▶装置の取り外しができるため、食事や歯磨きが通常通り行えます。
▶歯の移動がゆっくりなため痛みを感じにくいです。
▶自宅で装置の交換ができるので、歯の移動がゆっくりでも、ワイヤー矯正の治療期間と同じくらいの期間で治療を進めることができます
▶比較的、通院頻度が少ないです。
注意点 ▶歯に直接装置を接着するため、お口の中の粘膜を傷つけたり、違和感や痛みを伴いやすいです。
▶口元から矯正装置が見えやすいです。
▶お口のケアが通常より難しくなります。
▶金属アレルギーに対応できません。
▶難易度の高い症例には適応できないことがあります。
▶取り外し可能な反面、装着時間(1日20時間以上)など自己管理が必要になります。
▶装着時間やマウスピースの交換時期が守れない場合、スムーズに治療が進まず、治療期間が長引く原因にもなります。
通院頻度 ▶通院頻度の目安は月1回です。
(※お口の状況や歯の動き具合を診ながら、通院間隔を決めます)
▶通院頻度の目安は月1回~3ヶ月に1回です。
比較的通院が少ないです。
(※担当歯科医師がお口の状況や歯の動き具合を診ながら、通院間隔を決めます)
期間 ▶治療期間の目安は約2年程です。
(※お口の状態や治療の進行状況によって変わることがあります)
▶治療期間の目安は約2年程です。
(※お口の状態や治療の進行状況によって変わることがあります)
費用 ▶費用目安は約60万~80万円です。
(※お口の状態やご希望によっては、追加の費用がかかる場合もあるので、事前に歯科医院で確認しておきましょう)
▶費用目安は約80万~100万円です。
(※お口の状態やご希望によっては、追加の費用がかかる場合もあるので、事前に歯科医院で確認しておきましょう)

過蓋咬合治療においては、タイミングをみながら「アンカースクリュー」や「顎間ゴム」を使用して、歯を効率的に移動させます。これらの治療方法には、それぞれの特徴と注意点などがあります。治療方法を決める際は、歯科医師と相談した上で、ご自身に合った治療を選んでいただくと良いでしょう。

過蓋咬合の矯正治療後にしゃくれることはある?

過蓋咬合の矯正治療が終了した後に、歯並びの変化を感じるだけではなく、ご自身の顔つきの変化に気付かれる方もいらっしゃいます。わずかに顔がしゃくれたように感じる方もいらっしゃるかもしれません。そのように感じる理由には、歯を移動するとともに顔のラインも改善されることが考えられます。以下に、主な2つの理由について具体的にご説明します。

○顎が伸びたように感じる
過蓋咬合の状態だと、咬み合わせが深いことにより、見た目は顎が短いような印象を受けやすいです。治療で過蓋咬合が改善されると、歯の噛み合う位置が高くなります。そうすると、顎が少し下方向に伸びるので、顔自体も長くなっているように感じることがあります。

○顔のラインが細くなる
過蓋咬合は咬み合わせが深い状態であるため、咬む力が強くなりやすいです。咬む力が強いと筋肉が発達することで、エラがはりやすくなります。矯正治療により、過蓋咬合が改善されると、咬む力も改善されエラのはりが目立ちにくくなります。そうすると、顔のラインがスッキリとし細くなった印象を受けるため、顎が長くなったように感じる方もいらっしゃいます。

過蓋咬合治療にもインビザラインは対応可能です!

過蓋咬合は、インビザライン(マウスピース矯正)によっても治療が可能です。

インビザラインは世界的にも優れた矯正治療方法で、1999年にアライン・テクノロジー社がマウスピース矯正の先駆けとして開発した技術です。それ以来、世界100ヶ国以上に導入され、現在に至るまで1400万人以上の患者さんがインビザラインで治療を行っています。そして、今まで治療を行った患者さんのデータを集積し、新たに治療を受ける方の治療計画に組み込みながら、データをアップデートしています。また、治療計画においても、治療経過から完了までの治療工程を動画で確認していただくことができるので、患者さんも治療のイメージがしやすいです。

インビザラインは、透明なマウスピース型矯正装置を使用するため、装置が目立ちにくいのが大きな特徴です。その他にも、着脱が可能であるため、通常通り食事や歯磨きができるので、長い矯正期間において一緒に付き合っていく装置としても、とても優れています。

ただし、インビザラインが適応できるかどうかは、お口の中の状態を診てみないと判断できないこともあります。過蓋咬合など歯並びでお悩みの方は、まずは歯科医院を受診しましょう。

当院では、無料カウンセリングを実施中です。お気軽にご連絡ください。

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