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急速拡大装置を使用した矯正治療とは?メリットやデメリットなどを解説

【監修:歯科医師 長谷川雄士


リュックを背負って河原で笑っているみつあみの女の子

混合歯列期(6〜12歳)のお子さんの歯列矯正で、「急速拡大装置」の使用を勧められることがあります。急速拡大装置は、お子さんの顎の成長をサポートして歯が生えてくるスペースを確保するための装置であり、成長期のお子さんに有効です。今回は、急速拡大装置を使用した矯正治療について、メリットやデメリットを含めて詳しくお話ししていきます。

【目次】
1.急速拡大装置の特徴と役割について
 1-1 急速拡大装置のメリットとデメリット
2. 急速拡大装置を使用する際の注意事項
 2-1 ①適応年齢に制限がある
 2-2 ②拡大できるのは上顎だけ
 2-3 ③鼻が横に広がることがある
 2-4 ④他の装置を併用することが多い
3.急速拡大装置は必要?
4.急速拡大装置の大人の使用について
5.急速拡大装置の使用は成長期が効果的

急速拡大装置の特徴と役割について

歯と顎とのバランスの関係で、歯を綺麗に並べられるだけのスペースが足りない場合は、そのスペースを確保する必要があります。そのための方法のひとつとして「急速拡大装置」の使用が挙げられます。
お子さんの成長期に使用して顎の成長を促すことで、無理なく効果的に顎を広げることができます。

拡大方法には、「急速拡大法」「緩徐拡大」の2種類があります。


<急速拡大法>
成長期の上顎は2つに分かれており、正中口蓋縫合(せいちゅうこうがいほうごう)と
呼ばれるつなぎ目で繋がっています。このつなぎ目を広げると、時間が経つにつれて、間に新たな骨が出来上がります。この仕組みを利用して顎を広げていくのが、急速拡大法です。

装置は固定式で、装置の中央にあるネジを調整することで、強い力で顎を広げます。

▼使用年齢:混合歯列期から正中口蓋縫合が癒合する12歳くらいまで。
▼メリット:移動速度が早いため、2週間〜3ヶ月の短期間で大きな拡大を期待できる


<緩徐拡大法>
歯列を1〜2年かけてゆっくり側方・前方にゆっくり拡大していく拡大法です。取り外し可能なプレートタイプの拡大床や、固定式のクワドヘリックスなどの装置を用います。

▼使用年齢:混合歯列期から正中口蓋縫合が癒合する12歳くらいまで
▼メリット:お子様の顎の成長に合わせてゆっくり拡大するので痛みが少ない

急速拡大装置のメリットとデメリット

<メリット>

  • ワイヤーブラケットに比べて移動速度が早い
  • 移動速度が早いため、最短2週間の短期間で拡大できる
  • 上顎の幅を広げることで、骨格や歯列のアンバランスを同時に改善できる
  • 永久歯が生えそろう前に治療を開始しスペースを確保できれば、抜歯矯正を回避できる
  • 上顎を広げることで鼻腔も広がり、鼻呼吸しやすくなる

<デメリット>

  • 装置装着による違和感が強い
  • バンドやワイヤーを歯に装着するため見栄えが悪くなる
  • 発音・嚥下がしにくくなる
  • 鼻や口元にツンとした痛みが生じることがある
  • 固定式装置のため歯磨きがしにくい
  • 装置に食べ物が挟まりやすく、ワイヤーやネジ部分に汚れが停滞しやすい

痛みや違和感は数日で落ち着きます。
また、清潔な状態を保つために、​​​​仕上げ磨きなどご家族のサポートが必要です。

急速拡大装置を使用する際の注意事項

急速拡大装置を使用する際にはいくつか注意点があるため、ひとつずつ解説していきます。

①適応年齢に制限がある

顎骨は、一般的には16歳頃から拡大させることが難しくなると言われています。そのため、顎を広げることを目的とした急速拡大装置の効果が期待できるのは、正中口蓋縫合が自然に開く年齢を考慮し、混合歯列期(6〜12歳前後)(12歳)までとされています。
ただし、体の成長には個人差がありますので、専門医による検査や診断が必要です。

②拡大できるのは上顎だけ

急速拡大装置によって広げられるのは、正中口蓋縫合が存在する上の顎のみです。
上下どちらの顎も拡大が必要な場合、上の顎だけ広げてしまうと、上下の咬み合わせが悪くなるリスクがあります。

上顎に”急速拡大装置”を、下顎に”床矯正装置”を使用するという方法もありますが、全てのお子さんに適しているとは限りません。お子さんのお口の状態に合っているのか慎重に判断する必要があります。

③鼻が横に広がることがある

上顎が狭いと空気の通り道である”鼻腔”も狭く、鼻呼吸がしにくいことが多いです。上顎を広げることによって鼻腔も広がるため、口呼吸から鼻呼吸への改善が期待できます。

しかし、鼻呼吸しやすい環境を作り出すことができる一方で、鼻腔が広がる程度によっては、鼻が横に広がるという見た目にも変化が生じる可能性もあります。

④他の装置を併用することが多い

急速拡大装置のみで治療を行うことは少なく、他の治療法との併用が多いです。
急速拡大装置は、「上顎の幅を広げ、歯を動かすスペース作り」がメインであり、矯正力よりも、整形外科的力をかけることが目的とされています。
咬み合わせや歯の向きを整えるといった三次元的に歯を動かすためには、顎の拡大後にブラケット装置やインビザラインなどを用いて歯を綺麗に並べ、歯列の全体修正を行う必要があります。

急速拡大装置は必要?

永久歯が生えそろう前(混合歯列期)に治療を開始してスペースを確保できれば、抜歯矯正を回避できる確率が高くなります。
16歳頃からは顎を拡大させることが難しくなるため、正中口蓋縫合が自然に開くことができる思春期くらい(12歳くらい)までは、急速拡大装置の使用を選択肢の1つとしても良いでしょう。

しかし、先述したように、成長の程度やお口の中の状態には個人差があり、ベストな方法も異なります。まずは、専門医によるチェックをお勧めいたします。

急速拡大装置の大人の使用について

従来の急速拡大装置は、正中口蓋縫合の癒合が進んでいる成人は使用できないと言われています。
この年齢制限を解消する方法として、「歯科矯正用アンカースクリュー」を用いた拡大法が近年登場しています。左右の上顎骨にアンカースクリュー(ねじ)を埋め込んで、それを固定源として広げていく方法です。

成人の場合、上顎骨を拡大するためには骨を切る外科手術をして、側方拡大するしか方法がありませんでしたが、歯科矯正用アンカースクリューの登場によって、外科的手術を行わなくても上顎骨から歯列を拡大できるようになりました。

急速拡大装置の使用は成長期が効果的

急速拡大装置の使用は適応年齢が限られており、混合歯列期に使用することで様々なメリットがあります。タイミングを逃すと期待していた効果が得られないだけではなく、抜歯や外科的処置が必要になるリスクが高まります。
そのため、お子さんの成長段階を正確に診断し、最適なタイミングで使用し始めることが非常に重要です。
もし、お子さんの歯並びで気になることがあるなら、早めに歯科医院で相談しましょう。

当院では、随時カウンセリングやご相談を受け付けておりますので、お気軽にお聞かせください。あなたからのご連絡をお待ちしております。

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