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子供の前歯がなかなか生えてこない!その原因と処置方法

【監修:歯科医師 長谷川雄士


上下の前歯が抜けている子どもの口元

乳歯が抜けた後なかなか永久歯が生えてこないケースでは、遅い子では1年以上経ってからようやく生えてくることも珍しくありません。それだけ生え換わりには個人差があります。
しかし、中には単なる遅れではなくなんらかの原因が隠されて、場合によっては歯科医院での処置が必要になることもあるので、早めに気づくことが大切です。
今回は「基本的な歯の生える時期」「永久歯がなかなか生えない原因」「原因に適した歯科医院での処置方法」などについてお伝えします。

【目次】
1.永久歯が生える時期は個人差があります
2.前歯が生えるのが遅くなる原因について
 2-1 1.永久歯の生える場所が狭い
 2-2 2.過剰歯の存在により妨げられている
 2-3 3.生まれつき前歯が存在していない
 2-4 4.早いタイミングで乳歯が抜ける
 2-5 5.歯茎の厚みにより妨げられている
3.前歯が生えないままだと体の機能にも影響する可能性も!
4.受診をすすめるお口の状態とタイミング
5.乳歯が抜けたまま永久歯が生えない場合の歯科での対応
6.生えてこない前歯について歯科医院に一度ご相談ください!

永久歯が生える時期は個人差があります

周りの子は歯の生え換わりが始まっているのに、自分の子どもだけ歯がグラグラしたり抜けたりせず生え換わりが始まらないと心配される親御さんは多くいらっしゃいます。
しかし、身長や体重が個人差があるように、歯が生える時期も個人差があるので、そんなに心配する必要はありません。

生え変わりが始まる時期は、早い子で5歳、遅い子だと9歳くらいになるお子さんもいらっしゃいます。
永久歯の前歯が生えるのは、6~7歳頃が多いです。
7歳頃になっても生え換わりが始まらない場合は、一度、歯科医院を受診されることをおすすめします。

  • 顎骨の成長が遅い
  • 歯が横向きになっていて生えてこない
  • 過剰歯(本来存在する歯の本数より多い歯)により永久歯が生える妨げになっている
  • 生まれつき数本の永久歯が存在しない

など、原因があるかもしれません。
歯科医院でレントゲン撮影を行い、骨の状態や骨の中に埋まっている永久歯の状態を確認すれば、ただ歯の生え換わりが遅いだけなのか、他に問題があるのかを診断することができます。

<歯の生える順番>
◇第一大臼歯(6歳臼歯)
6歳前後で生えてきます。乳歯が生え揃った後で、さらに奥に生えてくる1番大きな歯で、食べ物をすり潰す役割があります。

◇中切歯(1番真ん中にある歯)
第一大臼歯と同じくらいの時期6~7歳くらいに生えてきます。先に下の前歯、その後上の前歯という順番に生えます。食べ物を噛み切る役割があります。

◇側切歯
中切歯の隣に位置し、中切歯より少し小さい歯です。食べ物を噛み切る役割があります。
7歳~8歳頃に生える歯で、先に下の歯(7歳頃)、次に上の歯(8歳頃)の順に生えます。

◇第一小臼歯
9~11歳頃に生えます。前歯と奥歯の間に生える歯で、食べ物を咬み砕いたり、咬み合わせが後ろ側にズレないようにする役割があります。

◇第二小臼歯
10~12歳頃に生えます。前歯と奥歯の間に生える歯で、食べ物を咬み砕いたり、咬み合わせが後ろ側にズレないようにする役割があります。

◇犬歯
11~12歳頃に生えます。わずかに尖っていて菱形の様な形をしています。食べ物を切り裂く役目があり、左右の咬み合わせのズレを防ぐ役割があります。
前歯と小臼歯が生えた後に生えるため、生えるスペースが足りず、八重歯のようになったり、歯茎に埋まったまま生えてこない場合もあります。

◇第二大臼歯
12~14歳頃に生えます。食べ物を咬み砕き細かくする役割があります。

◇第三大臼歯(親知らず)
17歳以降に生え、20歳や30歳頃に生えることもあります。 なかには親知らず自体がないケースや、あってもスペース不足で生えてこないケースも少なくありません。
特に、注意が必要なのは、斜めや横向きに生えてきたときです。汚れが溜まりやすく「智歯周囲炎」を繰り返すようなら、抜糸を検討する場合もあります。

前歯が生えるのが遅くなる原因について

前歯が生えるのが遅くなる原因には

  • 永久歯の生える場所が狭い
  • 過剰歯の存在により妨げられている
  • 生まれつき前歯が存在しない
  • 早いタイミングで乳歯が抜ける
  • 歯茎の厚みにより妨げられる

などが考えられます。それぞれの項目について詳しくご説明します。

1.永久歯の生える場所が狭い

歯の大きさに対して顎の大きさが小さいと、永久歯が生えるスペースが確保されにくく前歯がなかなか生えてこないことがあります。

先に生えてくるのは下の中切歯ですが、ほとんどの場合、乳歯が抜けた後早い段階で永久歯が生えてきます。
次に上の中切歯が生えてきます。片方はスムーズに生え換わりますが、もう片方は生えるのが遅い場合があります。

続いて、下の側切歯はスムーズに生えやすいです。しかし、上の側切歯は生えるのに時間がかかり、乳歯が抜けてから永久歯が生えるまでに6ヶ月以上かかることもあります。
なかなか永久歯が生えてこない場合は、レントゲンで確認します。このようなケースでは、側切歯のサイズが大きく、両隣の歯に挟まれ生えるスペースが足りていないため、生えるのに時間がかかっていることがほとんどです。

2.過剰歯の存在により妨げられている

「過剰歯」とは、本来存在する歯より余分に生える歯のことを言います。好発部位は上の中切歯の間です。通常の前歯は平たいシャベルのような形をしていますが、過剰歯は少し尖ったような円錐型の形態をしているため、発見しやすいです。日本人全体の3~5%程の発生率で、女性より男性によく見られます。

乳歯が抜けた部分に、永久歯ではなく過剰歯が生えてくる場合や、過剰歯が埋まったままでで永久歯が生えるスペ-スを狭めてしまい永久歯を生えにくくしてしまう場合、永久歯が生えてきても捻れて生えてきてしまう場合などがあります。

治療法としては、過剰歯が生えてきたタイミングで抜歯を検討します。

3.生まれつき前歯が存在していない

生まれつき歯が存在しないケースのことを「先天性欠損歯」と言います。本来存在するはずの歯の本数より少なく、乳歯にも永久歯にも起こることがあります。
好発部位は、側切歯、第二小臼歯で、特に下の歯で発生しやすいです。日本人全体での発生率は約10%で、男性より女性の方がわずかに発生率が高いです。

乳歯が生えている時期に、癒合歯(2本の歯が結合し1本になった歯)があったり、乳歯が欠損していたりすると永久歯も欠損している場合が多いです。
お子さんの成長を見て、歯科医院でレントゲン撮影を行える時期になったら確認してもらうことをおすすめいたします。

4.早いタイミングで乳歯が抜ける

乳歯に大きな虫歯ができて進行し神経まで達した場合や、転倒などの衝撃により神経がダメージを受けてしまった場合は、神経の治療が必要になります。

神経の治療をした歯や、神経が壊死した歯は、神経のある乳歯より早く抜けてしまいやすいです。この場合、乳歯が早く抜けても歯茎に埋まっている永久歯は完成されていないため、永久歯が生えるのが遅く感じることがあります。

また、転倒による衝撃で乳歯がグラグラしてしまった場合も、乳歯が抜けるのが早まり、永久歯の生え換わりが遅く感じることもあります。
これらの状況では、永久歯が生えてくるまで待ちます。もし、心配に感じてしまうことがあれば、小児歯科で診てもらいましょう。

5.歯茎の厚みにより妨げられている

歯茎の厚みによって、永久歯が生えるのに時間がかかることがあります。このような場合は、レントゲン写真で歯が動いているか定期的に確認します。
自然に生えてくる場合がほとんどですが、歯の動きが見られず、永久歯が生えてくる気配がなければ治療が必要です。特に、乳歯が早い段階で抜けたままになっていると、歯茎が硬くなって永久歯が生えにくくなります。

治療方法は、歯茎に麻酔を行い切開して永久歯が生えやすい状態にします。切開にはメスあるいはレーザーを用います。ほとんどの場合はこの処置で生えてきますが、生えてこない場合は、矯正治療により歯を引き上げる力により永久歯を引っ張り出します。

前歯が生えないままだと体の機能にも影響する可能性も!

歯がないままの状態で過ごしていると、「歯並びや噛み合わせ」「発音」「咀嚼」「見た目」に影響することがあります。

○歯並びや咬み合わせが悪くなる
歯がない部分を放置すると、そのスペースに隣の歯が倒れてきて歯並びが悪くなることがあります。永久歯が生えるのが遅い場合も、起こる可能性があります。
歯の位置が本来の位置よりズレてしまうと、咬み合わせも悪くなります。歯並びや咬み合わせが悪いと、発音や咀嚼がしにくくなることがあります。

○発音がうまくできない
前歯が無い状態だと、発音するときに空気が漏れてしまうことで、はっきりとした発音ができなくなります。特にサ行、タ行、ラ行の発音がしにくくなります。
サ行は前歯と舌で隙間をつくって発音し、タ行とラ行は舌と前歯を接触させて発音するため、前歯がないと舌と接触する部分がない、あるいは少ないことで発音がしにくくなります。

○しっかり咀嚼ができない
歯がない部分があると、しっかりと咬むこと(咀嚼)が難しくなります。特に前歯がないと、肉などの繊維のある硬い食べ物を噛み切ることが難しいです。そのため、咀嚼が不十分になり、十分に咬み砕けていない状態で胃へ運ばれてしまうため、消化器官へ負担がかかりやすくなります。

○見た目が気になる
子供の生え換わりの時期は、前歯がない状態というのは一時的なことがほとんどですが、どうしても目立ってしまいます。周りの子から指摘されることでコンプレックスに感じ、思いきり笑えなかったり、話すこと自体に消極的になってしまうことがあります。

受診をすすめるお口の状態とタイミング

歯の生え換わりは、子供によって個人差があるので、そんなに気にする必要はありません。ただし、以下の項目に当てはまる場合は、ただ生え換わりが遅れているというだけではないことがあります。このような場合は、一度、歯科医院を受診されることをおすすめします。

▶7歳以降も歯え換わりが始まらない
7歳以降に乳歯が抜けて永久歯が生え始めるお子さんもいらっしゃるので、過度に心配する必要はありません。しかし、「先天性欠損歯」や「埋伏歯」の可能性も考えられるので一度、歯科医院でご相談されることをおすすめします。

また、成長ホルモンの分泌の減少が原因で生え換わりが遅くなっていることもあるので、ホルモンの分泌が促進されやすいように、睡眠時間や栄養バランスのとれた食事など規則正しい生活を心がけるようにしましょう。

▶乳歯が抜けて6ヶ月以上経っているのに永久歯が生えない
乳歯が抜けて6ヶ月以上経っているのに永久歯が生えてこない状況は、比較的生え換わりが遅いと言えます。もちろん6ヶ月以上経って自然に生えてくることもあります。
しかし、生え換わりの遅れ以外の原因が早めに特定できれば、対処方法の選択肢も増えやすいです。

▶片側は生えているのに、反対側が大幅に遅れている
基本的に、歯の生え換わりは左右同じように起こります。そのため、片側が大幅に遅れている場合は、生え換わりの遅れ以外の原因がある可能性があります。

▶歯茎の腫れや痛みを感じる
生え換わりの際に、永久歯が歯茎を押すことによって、歯茎の腫れや痛み、違和感を感じることはよくあることです。これらの症状は、歯が生えてくれば治ります。
しかし、症状が長引いて、食事や普段の生活に支障が出てくるような場合は、歯科医院に相談しましょう。歯茎の厚みが原因になっていたり、永久歯がズレて生えてくるなどの問題が考えられます。

乳歯が抜けたまま永久歯が生えない場合の歯科での対応

乳歯が抜けたあと永久歯がなかなか生えてこない場合、歯科医院で対応できます。まずは、お口の状態を確認し、必要があればレントゲンやCTを撮影して、歯や歯茎、骨の状態を確認します。
1~2年くらい経って、自然と生えてくるケースもあります。この場合は、定期的に通院していただき経過観察を行います。

ただし、中には定期的に経過観察しても、歯が動かず生えてくる気配がない歯もあります。このような場合は適切な処置により歯が生えやすい環境を整えるようにします。
処置が必要となる具体的な症例と処置内容を項目別に表にまとめました。診療を受ける際のご参考になさってみてください。


具体的な症例 治療方法 処置の流れ
隙間が狭くて永久歯が生えない 矯正治療 矯正治療により歯を移動させ、隙間を広くすることで、永久歯が生えるようにします。
歯茎に厚みがあることで永久歯が生えない 歯茎の切開 永久歯が出てきやすいように歯茎を切開します。
それでも出てこない場合は、矯正装置を装着して歯茎から引っ張り出すこともあります。
過剰歯が邪魔になり永久歯が生えない 抜歯 レントゲンやCTにより位置や向きを確認後、過剰歯を抜歯して、永久歯が生えるようにします。
先天的に永久歯が存在しない 経過観察 乳歯が抜けるまで残しておきます。乳歯は20代後半~30歳くらいで抜けるケースが多いです。
抜けた場合は、早めに歯を補う必要があります。
また、乳歯は歯質が永久歯よりも弱く虫歯になりやすいため定期的に診察を受けることが大切です。

生えてこない前歯について歯科医院に一度ご相談ください!

乳歯が抜けたのに前歯がなかなか生えてこない場合、生え換わりが遅れているだけで歯が生えるまで待っておけばいいことがほとんどです。
しかし、「過剰歯が邪魔になっている」「生まれつき歯が存在しない」「歯茎が厚い」「十分なスペースがない」などの理由で永久歯が生えてこない場合も少なからずあり、歯科医院での処置が必要になることがあります。
日本での発生率では、過剰歯が3~5%、先天欠如歯が10%との報告があり、割合としては意外と高いです。これらのケースでは、早めの処置により歯並びや咬み合わせへの影響を最小限に抑えることが可能になります。
生え換わりの遅れを感じたら、一度、歯科医院への受診をお勧めします。

当院では、無料カウンセリングを実施しております。歯の生え換わりや歯並び、咬み合わせなど、気になることがあればお気軽にご相談ください。

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